カスパル
PL:A/秘教の隠者
- HP
- 1 オーメン2 50s
- 武器・防具
- ナイフ d4、防具なし
- 装備
- 大袋、薬箱(7回分)、25sの上質な香水、不浄の巻物「ルーシィ・ファイアの浮遊」
- 特技
- 見えざる学院の入門者(1日1回、使い捨ての巻物をd2枚呼び出す)
RUUMIS/屍神の腹腔
このリプレイは、シナリオの展開と結末をすべて含みます。PLとして遊ぶ予定の方は、読まないことをおすすめします。GMとして遊べるか判断したい方、遊び終えた方向けのプレイ例です。
シナリオ本体は、TALTOで配布しています。
GM・囲みのABC……プレイヤーのボイスチャットでの発言(囲みの線は、Aが実線、Bが二重線、Cが破線。ゲーム中は囲みの下に、そのプレイヤーのキャラクター名) / キャラ名……キャラクターとしての発言 / 左に縦線のある明朝体……NPCの台詞 / かすれた手書きの文字……死にゆく脳の囁き
枠つきの文字……チャットに出たダイスの結果 / 赤線の段落……本文にないGMの裁定
こんばんは。今日は『RUUMIS/屍神の腹腔』です。腐敗、体液、融解、感染、ゴアの描写があります。きつい時はいつでも止めてください。
三人ともMÖRK BORGは初めてなので、ルールはその都度説明しますね。
舞台は、もうすぐ終わる世界です。終わりの日は予言されていて、みなさんはその隅で、銀貨のためなら死体の中にも潜る連中。英雄ではありません。そして、よく死にます。
よく死ぬ、っていうのは、他のゲームと比べて?
キャラクターを作れば分かります。HPが1とか2のキャラクターも、ざらにいます。
……ほんとに?
能力値は【筋力】【敏捷】【存在】【耐久】の四つで、それぞれ−3から+3の修正値です。判定はd20に修正値を足して、DRという目標値以上なら成功。ふつうはDR12です。
それと、オーメンという悪運を何回分か持っています。ダイスの振り直しや、自分が受けたダメージを減らすのに使えます。
今日はクラスを使います。どんな育ちの食い詰め者か、が決まっていて、能力値の振り方や持ち物、変わった力が付いてきます。まずd6で。
A:クラス 1d6 > 3(秘教の隠者)B:クラス 1d6 > 1(牙を持つ脱走兵)C:クラス 1d6 > 1(被り)、6(オカルトハーブマスター)
隠者は巻物を読む魔術に長けていて、そのぶん体が弱い。脱走兵は腕っぷしが強くて噛みつけるけれど、身のこなしの判定が重くて、巻物は読めません。
オカルトハーブマスター、薬師は、毎日その辺の材料から薬を二種類煎じます。
(20分後)
隠者のカスパル。【存在】+3で、巻物を読める回数が、今日は5回。……【耐久】5で、HPは1。
出た、1。
その代わり薬箱を持ってる。【存在】+4回分だから、7回使える。
脱走兵のリーゼです。HP3で、中装の鎧と「ガルゲンベックの薄汚れたシミター」。攻撃も防御もDR10になる曲刀です。あと、犬がいます。
薬師のオスカー、HP4です。剣と、爆弾が一個あります。
爆弾を持った薬師か。
初期装備の表で出たので……。
巻物を読むのは【存在】でDR12。失敗すると反動で傷を負って、しばらく読めなくなります。読める回数は、一日に【存在】の修正値+d4回。
PL:A/秘教の隠者
PL:B/牙を持つ脱走兵
PL:C/オカルトハーブマスター
導入を読みます。
数日前の夜、地の底を這うような地響きが、ガルゲンベック市壁の外から伝わってきた。
朝、壁の外には、巨大な『何か』の死骸が横たわっていた。
落ちてきたところを見た者はいない。這ってきたところを見た者もいない。
あまりに大きい。そして、すでに腐っている。獣の死体というより、昨日まで存在しなかった地形に見える。
皮は鉛色にくすみ、あちこちが裂けている。
裂け目からは腐敗の熱気が立ちのぼり、ハエの羽音が空を埋めつくしている。
都はここ数日、ひどい死臭で眠れていない。双頭のバジリスク派の司祭たちは、この死骸を焼くことに決めた。
火を放つのは、いまより二度目の夜が明けた朝。
あれだけの腐肉を焼くには、まだ薪も油も足りていない。誰も、この死骸の名を知らない。
だが鼻の欠けた隠者が、いにしえの聞き取りにくい言葉でこう呼んだのを、お前たちは聞いた。
『RUUMIS(ルーミス)』
その言葉は、『死体』を意味している。
数日前、ガルゲンベックの酒場。三人のテーブルに、司祭団の使いだという若い僧が、銀貨の小袋を置きました。
司祭長ヘルヴィ様からのご依頼です。二度目の夜が明けるまでに、あの死骸の眼を持ち帰れば、150sお支払いします。……我々は、中には入りません。
眼、ですか。どこにあるのです。
頭のどこかでしょう。死骸の中のことは、中に入る方がお考えください。
もう一つ、中へ入る理由をd4で。
B(リーゼ):1d4 > 4
灰の待合の闇の錬金術師が、前金20sを握らせてきた。「眼を持ってくれば、司祭よりはずむ。あいつには渡すな」。……誰が受け取りましたか。
リーゼが受け取ります。脱走兵は、くれるお金は断らないと思うので。
(銀貨を数えて、懐にしまう)……司祭には渡すな、ね。
メモしました。「錬金術師:司祭よりはずむ。司祭に渡すな」。……依頼人が二人いるんですね。
二股か。いい導入だ。
外
そして今朝。死骸の足元です。読み上げます。
近くの住人や雇われたゴロツキたちが薪を積み、油の樽を転がし、司祭団が市壁側の道を封鎖している。地形と見紛う肉塊の前には試しに少し燃やしたのであろう、灰が散らばっている。どうやら生半可な火では焼けないようだ。二度目の夜明けまで、燃料を積めるだけ積む気だ。司祭団は中にまでは入らない。何があっても入らない。適当なごろつきを雇ってあらゆる隙間に薪と油を仕込んでいく。
見た限り、この珍しい死体を当てにした商人や錬金術師なども集まってきているようだ。
どうしますか。
入口を探したい。どこから入れる?
死骸の横腹に、皮が大きく裂けた場所があります。ごろつきたちが薪を抱えて出入りしている。
中に入る前に、道具を揃えたいです。松明とか、縄とか。売ってる人はいますか。
裂け目の近くに、屍肉を並べた露店がひとつ。片目の女が座っています。
みんなで寄ってみましょう。
三人が近づくと、向こうから声がかかる。
中へ入るのかい。ここのものはまず私に見せろ。司祭どもは肉の値段を知らん。
見せるのは、出てきてからだ。……あんたは何を売ってる?
(布の上を顎でしゃくって)縄と松明だよ。縄は10mで5s、松明は1本1s。
縄と火は持ってるかい。持たずに入るなら、死にに行くのと同じだよ。
リーゼは、松明を一本買います。縄は……オスカーさんの鉤縄で足りますか?
鉤縄が一本あります。オスカーは松明を何本か買って、カスパルさんにも一本渡しておきます。
マルガは松明を渡しながら、声を落とします。
中には琥珀色の粒が転がっていてな。1粒10sで買い取ってやるからたくさん持ってこい……あと、白いものには近づくな。あれは人を溶かしちまう。
まあ、仕留められるなら話は別だ。あいつらは琥珀を腹に溜め込んでるしな。そいつから剥いだものも買ってやる。
白いもの……。(メモを取る)
人を溶かすのに、琥珀を溜め込んでる。殴る理由と逃げる理由が、両方あるわけだ。
マルガはカスパルを上から下まで眺めて、ひどく嫌そうな顔をすると、琥珀色の粒を一つ、カスパルの掌に押しつけます。
中に入ったらこれを噛むんだ。力が湧くよ。死人からは何も買い取れないからね……いいか、同じものを集めてくるんだ。ツケにしといてやる。
……私はそんなに、死にそうに見えますか。
見える。
(笑)HP1だからな。……力が湧く、って言われてもな。これ、何なんだ。噛んで大丈夫なものか?
マルガさんは「噛めば分かる」って言いそうですね。錬金術師っぽい人、いましたよね。リーゼに前金をくれた人。聞いてみます。
露店から少し離れたところで、黒い外套に小瓶を腰いっぱいに提げた男が、煙の向こうの死骸を眺めています。リーゼに気付くと、口の端だけで笑う。
前金の娘か。(カスパルの掌の粒に目を留めて)……入るのか? ならあの中でみつかるキラキラした粒のことを教えてやろう。あれを食えば体がちぃと頑丈になるよ。
ただ屍体の力を借りるもののようだから外で食ってもちょっと疲れが取れるだけだし、中でもそう何度も効かんようだがね。あれにとってわしらはあくまで異物なのだ。
……異物、か。
ルールで言うと、死骸の中で噛み砕けば、最大HPが1上がって、HPがd2戻ります。一人2粒まで。外に出ると、上がった分は元に戻ります。
メモしました。「琥珀:中で噛むと頑丈になる、外だと疲れが取れるだけ、2粒まで」。
だから「中に入ったら」か。中に入ってから噛む。
(犬の首紐を引いて、裂け目の方へ)行くよ。……おい。
犬は四本の脚を突っ張って、一歩も動きません。裂け目から吹いてくる臭いに、鼻に皺を寄せて唸っている。
裁定動物の連れを死骸の中に入れるかは本文にない。このGMは、アイテム欄の「体液」(腐臭に獣が怯えて近寄らない)を踏まえて、犬は外に残すことにした。
(首紐を、薪の山の杭に結ぶ)……ここで待ってな。
ルームに地図と夜明けカウンターを置きました。死骸の中を描いた、名前だけの地図です。中で場所を移るたびに、駒を一つ進めます。休んでも進みます。二つ目の髑髏が、火葬の朝です。
「死にゆく脳」「鼓動の大聖堂」……。眼は、一番奥ですね。
創傷
裂け目をくぐると、足元がすぐに途切れています。乾いた茶色の崖が、下の暗がりへ落ちている。外の光は、崖の途中までしか届きません。下から、生温かい風。
中に入ったな。カスパルは、マルガの琥珀を噛む。
奥歯で噛み砕くと、舌が痺れて、はらわたが一瞬焼けるように熱くなる。そのあとで、体の底から何かが湧いてきます。
A(カスパル):琥珀 1d2 > 1(最大HP2、HP2)
(腹を押さえて)……はらわたが、焼ける。だが、確かに、何かが満ちる。
崖は、どれくらい深いですか。
松明に火をつけて、下に落としてみます。
松明はくるくる回りながら落ちていって、三階建ての家くらい下で、何か柔らかいものに当たって止まりました。火は消えずに、底でちろちろ燃えている。
崖の表面は? 手をかけられそう?
触ると、乾いてざらざらしています。固まった血が何層にも重なって、瘡蓋みたいになっている。爪を立てると、ぽろぽろ剥がれる。
瘡蓋を降りるのか。……私は、これでも隠者だ。岩壁には慣れていない。
鉤縄を縁に引っかけます。
鉤が、裂けた皮の縁にしっかり噛みました。縄は一本です。どう降りますか。
一人ずつだな。縄一本に三人ぶら下がったら、瘡蓋ごと剥がれそうだ。
オスカーが最初に降りて、下を照らします。
リーゼが二番目で。
カスパルは最後だ。上から落ちてきたら、下の二人が迷惑する。
縄があるので、降りるのに判定はいりません。オスカーから順に降りていきます。
外の光が届かなくなったあたりで、下から羽音が湧き上がってきます。ハエの雲です。顔にも手にも、びっしりとまとわりつく。……みなさん、火はどうしてますか。
オスカーは、松明を腰に差して降りてます。
リーゼは口に咥えます。
カスパルは……オスカーにもらった松明を、腰に差してる。
火を振ると、ハエの雲は嫌がって散っていきます。
GM:腐敗の徴候 1d6 > 6(死体の痙攣)
最後にカスパルが縄に掴まった時、崖全体が、一度だけ大きく震えました。縄がぎしりと鳴る。……揺れは、それきり止まります。
(縄にしがみついて)……今、動いたな。死体が。
死んでるんですよね、これ。
底に着きました。足の下はぬるぬるして、甘い腐臭がいっそう濃い。さっき落とした松明の明かりの端に、何かが横たわっています。人の形です。
(シミターの柄に手をかける)……生きてる?
近づいても、動きません。
オスカーは薬師なので、死体を診ます。どこか怪我はありますか。
片方の脚に、ひどい裂け傷。膝から下が、黒いドロドロしたものに浸かったみたいに汚れています。傷口の周りは黒く腫れ上がって、じくじくと膿んでいる。
額と首筋には、熱に浮かされた汗がこびりついたまま乾いています。
斬られて死んだんじゃない。傷が腐って、熱で死んだんだ。
黒いドロドロ、というのは……。
靴もズボンも、膝のあたりまで黒く汚れています。どこかで、黒いものの中を歩いたように見える。
メモ。「傷のまま黒いものに入ると、腐るかも」。
持ち物を見る。
縄、ナイフ、何か入った皮の水筒、銀貨が少し。
A(カスパル):銀貨 2d6 > 4
水筒の中身が気になります。オスカーが栓を開けて、匂いを嗅ぎます。
鼻の奥を刺す、甘ったるい腐臭。周りの肉から滲み出しているのと同じ、この死骸の何かの体液です。
(顔をしかめて栓を戻す)……こいつ、こんなもの何に使うつもりだったんだ?
売るつもりだったか、飲むつもりだったか。どちらにせよ、正気ではないな。
一応、持っていきます。薬師なので。
手とか、周りに何かありませんか。書き残したものとか。
右手の爪が、何本か割れています。もたれている壁を照らすと、爪で引っかいた字が残っている。「白いものが来る。松明は効かない」。
白いもの。マルガさんが言ってたやつだ。
火が効かないのか、それとも燃えても止まらないのか。どっちだろうな。
崖の底の先に、赤黒い管がぽっかり口を開けています。奥から、湿った音がかすかに聞こえる。……どうしますか。
ここにいても仕方ない。管の入口まで行こう。
行きましょう。
オスカーも。
管の入口に着いたところで、駒が一つ目の髑髏に届きました。夜明けです。夜明けのたびに「終末暦」を振ります。世界の終わりの日に向かって、ときどき取り返しのつかないことが起きる。
GM:終末暦 1d6 > 1GM:〈禍い〉 1d6 > 4、1d6 > 1
1でした。……世界のどこかで、また一つ、取り返しのつかないことが起きました。遠い村の噂が、悲鳴まじりに風に乗って届いてくる。
世界、本当に終わりかけてるんですね……。
終わりかけの世界で、死体漁りか。らしくていい。
夜明けで、一日ごとのものも新しくなります。カスパルは巻物を読める回数を、オスカーは今日の薬を振ってください。
A(カスパル):巻物の回数 3+1d4 > 4(今日は7回)C(オスカー):薬 1d8 > 2、2(エズミエルの蒸気) 1d4 > 1(1回分)
上から縄を伝って、マルガが降りてきました。管の入口に焚き火を起こして、布を広げる。火の明かりが、崖の底と管の入口をぼんやり照らしています。
血管
管の入口から中を覗くと、馬車が通れるくらい太い。壁は柔らかく、踏めば少し沈みそうです。焚き火の明かりが届くのは入口のあたりまでで、その先は暗い。
……その暗がりの奥から、ジュクジュクという音と、男の悲鳴。
……誰かいる。
助けに行きますか?
慎重にな。静かに進む。
リーゼも、松明を前にかざして。
しばらく進むと、管が白いもので塞がれています。蜘蛛の巣みたいな太い糸が、何重にも張られている。足元は窪んでいて、黒い血が腰の高さまで溜まっています。
前にかざしたリーゼの松明が近づいた途端、糸がジュッと縮れて、嫌な匂いの煙を上げました。ジリジリと派手な音を立てて、少しだけ燃えている。悲鳴は、糸の向こうからです。
(松明を引いて)……燃える。
奥の音は変わりましたか?
今のところ、変わりません。
糸を、もう少しよく見たい。松明は燃え移らないように離して。
指くらいの太さで、濡れてねばついています。何重にも重なっていて、向こうの暗がりがかすかに透けて見える。管の壁から壁まで、隙間なく貼りついています。
下はどうですか? 黒い血のところ。
いちばん下の糸は、黒い血の水面すれすれまで垂れています。
黒い血……。先客の人の脚、これですよね。
糸、剣で切れそうですか?
力を込めれば切れそうです。ねばついていて、刃に絡みつきそうではありますが。
絡めば、糸全体が揺れる。焼けば、さっきの音だ。……向こうの奴には、まだ気付かれたくない。
水面すれすれってことは、血に潜れば下をくぐれるか?
くぐれます。糸に触れないように屈むと、肩まで黒い血に浸かることになりますね。
今、怪我してる人はいませんよね。……だったら、たぶん大丈夫です。
松明は、頭の上に掲げて。
三人とも、黒い血の中を屈んで進んで、糸の向こうへ。そして、音の正体が見えました。読み上げます。
白い塊が、男をねぶり溶かしている。男は奮闘したのか、白い塊の膜には、ナイフが一本突き刺さったままだ。こいつを倒すか、どこかへいなくなるまでやり過ごさなければ先へ進めない。お前たちとこいつの間、柱のような血栓の影に細い副管が口を開けているのが見える。ここに隠れられるかもしれない。先に気付かれていなければだが。
白いもの……!
男の人は、まだ生きてますか。
もう声は上げていません。腰から下が、白い塊の中に消えている。
隠れるか、殴るか。……カスパルは今日の分の巻物を呼び出しておきたい。「見えざる学院」で。
A(カスパル):学院 1d2 > 2枚A(カスパル):1枚目 1d4 > 3(不浄) 1d10 > 5(毛細血管の悪魔)A(カスパル):2枚目 1d4 > 1(聖) 1d10 > 7(偽りの暁光/夜陰の戦車)
一枚目は「毛細血管の悪魔」。相手一体をd6ラウンドのあいだ窒息させて、毎ラウンドd4。二枚目は「偽りの暁光/夜陰の戦車」。光か、真っ暗闇を作ります。
暗闇にして、隠れればいいんじゃないですか?
GM、あの白いのに目はある?
ありません。目も口もない、ただの白い塊です。
……暗くしても、関係ないですね。
膜にナイフが刺さってるってことは、男の人とやりあって、弱ってるんですよね。爆弾、使いませんか。
まだ気付かれてないなら、先に仕掛けられないか?
糸を焼かずに来たので、白い塊はまだこちらに気付いていません。ただ、目がない代わりに、音や揺れで獲物を探します。黒い血の中を、音を立てずに寄れるか。
全員【敏捷】DR10です。リーゼは脱走兵で中装なので、DR14。一人でも失敗すれば気付かれて、どちらが先に動くかをd6で決めます。
14……。
寄れたら、カスパルが窒息させる。オスカーが爆弾。リーゼが斬る。三つ重ねよう。
……わかりました。一回で決めましょう。
A(カスパル):1d20+1 > 8(失敗)B(リーゼ):1d20 > 11(失敗)C(オスカー):1d20 > 1(失敗)
1……。
黒い血を掻き分ける音が、三人分。オスカーは底に沈んだ何かを踏んで、派手な水音を立てた。白い塊が男を離して、こちらへ膨らむ。……d6です。1〜3なら向こうが先、4〜6ならみなさんが先。
GM:イニシアチブ 1d6 > 5(PCが先)
みなさんが先です。戦闘の説明をしますね。MÖRK BORGでは、敵はダイスを振りません。みなさんが攻撃の判定を振って、攻撃されたら防御の判定を振る。
どちらもふつうはDR12。鎧は、受けたダメージをダイスの分だけ減らします。
(巻物を広げる)血の管よ、閉じよ。
A(カスパル):毛細血管の悪魔 1d20+3 > 22(成功) 持続 1d6 > 5ラウンド
白い塊の膜の内側で、何かが詰まったように震えはじめる。こちらへ伸びかけていた偽足が、止まった。
(瓶の口に火を移して、放る)薬師の最新の調合だ!
C(オスカー):爆弾 1d20 > 12(DR12 命中) 1d10 > 10、膜 1d2 > 1(9点)
10。瓶が白い膜の上で弾けて、塊の半分が吹き飛びました。白い膜はダメージを少し吸ってしまうので、9点。まだ、震えながら残っている。
(曲刀を、ナイフの刺さった傷口へ振り下ろす)
B(リーゼ):シミター 1d20 > 20(DR10 クリティカル) 1d6 > 5、2倍で10点
攻撃で出目20はクリティカル。ダメージが2倍になって、相手の守りも一段落ちます。刃が、男のナイフが残した傷をなぞって、膜を真っ二つに割る。白い塊は崩れて、泥になりました。
…………一発。
気持ちいいな!
GM:琥珀 1d4 > 1
泥の中に、琥珀色の粒が一つ。……溶かされていた男は、もう助かりません。
男の荷物を見る。
荷物の残骸から、琥珀がもう一粒。男の上半身は奇跡的に無事で、革の胴着を着ています。
胴着はカスパルがもらう。一撃で死ぬのはカスパルだ。……悪いな。
軽装の鎧です。受けるダメージをd2減らします。
琥珀は、カスパルがもう一粒噛む。残りの一粒は取っておこう。
A(カスパル):琥珀 1d2 > 1(最大HP3、HP3)
白い塊の跡の先で、道は二つに見えます。街道の太い流れは、そのまま奥へ。もう一つ、壁の裂け目の奥に、上へまっすぐそびえる巨大な管。血は流れておらず、底に黒い血が溜まっているだけ。
内壁には、濡れた革の棚のようなヒダが、等間隔で垂れ下がっています。どうしますか。
地図の点線って、この上に登る管ですか?
そう見えます。
落ちたら、下は黒い血ですよね。
上に何があるか分からん。流れに沿おう。脳ってのも見てみたい。
リーゼも、流れに沿います。
オスカーも。
頭蓋の要塞
街道の流れが尽きた先は、闇に包まれた広い空間だ。
その闇の中央で、ときおり青白い火花が走る。火花が走るたびに、灰色の丘が二つ、身を寄せ合うように浮かび上がる。表面には深い皺が幾重にも刻まれ、火花はその溝を、思い出したように走っては消える。脈打たない光。
二つの丘のあいだでは、複雑な形をして膨らんだ結び目が一つ、腫れ上がった果実のように明滅している。今にも弾けそうだ。その光の向こう、灰色の丘のさらに奥へ、白い束が一本だけ伸びている。
ここは、神が考え、命じ、夢を見ていた場所だ。残っているのは壊れかけた神経の残響だけ。
それが、お前たちの耳の奥で囁きはじめた。
カスパルが、松明を高くかざして周りを見る。
頭上も周りも、これまでの柔らかい肉とは違って、硬く白い。……骨です。ここは、途方もなく大きな頭蓋の内側です。
……脳、ですね。
GM:腐敗の徴候 1d6 > 5(構造崩壊)
遠くで何かが千切れる音。天井から、濡れた縄みたいな神経がぼとぼと垂れてくる。……そして、耳の奥の囁きが、だんだん言葉になっていきます。
……こわれている……ここも……そこも……なおせ……はらが……すいた……くえ……
全員【存在】DR12です。
A(カスパル):1d20+3 > 17(成功)B(リーゼ):1d20 > 15(成功)C(オスカー):1d20 > 5(失敗)GM:1d2 > 2
オスカーの頭の中で、声が一つだけ大きくなる。
くえ。
オスカーは、いちばん近くにいるリーゼに襲いかかります。一度だけ。
えっ。
剣で斬りかかれば、リーゼを殺しかねません。オーメンを使って、さっきの判定を振り直してもいい。それか、剣の柄で殴るか、噛みつくくらいに抑えてもいい。それならダメージはd2です。
オーメンは一個しかないので、取っておきたいです。……柄で殴ります。
C(オスカー):柄で 1d20 > 20(クリティカル) 1d2 > 1、2倍で2点B(リーゼ):中装が一段落ちて軽装扱い 1d2 > 1(1点)
柄頭が、リーゼのこめかみをまっすぐ打ち抜きました。クリティカルで2点、鎧が1点止めて、1点です。
(こめかみを押さえて)……なんで今日一番いい出目を、私に使うの。
す、すまない。腹が……減ったような気がして……。
丘のあいだで光ってる結び目。カスパルは、あれを調べたい。
近づくと、ぶよぶよした果実みたいな結び目の中を、青白い光が走り回っています。触れれば、何かが流れ込んできそうです。ただ、触れた指が焼けそうな気配もある。
【存在】+3がある。隠者の好奇心だ。触る。
意識を重ねるなら、【存在】DR12です。
A(カスパル):1d20+3 > 5(DR12 失敗)GM:1d4 > 3
指先から、焼けた鉄を押し当てられたような痛み。3点です。
HP3に3は、ちょうど0だ。オーメンで減らす。
A(カスパル):軽減 1d6 > 1(2点)
カスパルは弾き飛ばされて、HP1。
(煙の出る指を見つめて)……何も、分からなかった。
薬箱を使う。自分とリーゼに一回ずつ。
A(カスパル):薬箱 1d6 > 2(カスパル HP3)A(カスパル):薬箱 1d6 > 6(リーゼ HP3、上限)
休むと時間が進むんでしたよね。薬箱、助かります。
出口らしいものは、丘の奥へ伸びる白い束だけです。どうしますか。
束を辿ります。足元に気を付けて。
行こう。
オスカーも。……もう、リーゼさんの隣には立ちません。
束を辿るにつれ、前方から雷鳴のような音が響いて、そのたびに足元が大きく突き上げられます。
雷? 死体の中で?
心臓
GM:終末暦 1d6 > 4(何も起きない)A(カスパル):巻物の回数 3+1d4 > 1(今日は4回)A(カスパル):学院 1d2 > 2枚(不浄「精神閉眼」、不浄「ルーシィ・ファイアの浮遊」)C(オスカー):薬 1d8 > 1、1(赤の毒) 1d4 > 4(4回分)
二度目の夜明けです。市壁の外で、司祭団が火を放ちました。裂け目の門と、崖の底の露店は、もう火の中です。ここから先は、場所を移るたびに、休んでも、背後から火が一区画ずつ迫ってきます。
マルガさん、逃げられたかな……。
GM:狂信者 1d6+3 > 5GM:弁のカウント 1d3−1 > 1
束の先は、大きな空洞に通じています。読み上げます。
赤黒い断崖に囲まれた大空洞。石灰化した巨大な心臓の弁が、閉じた門のようにそびえている。
弁の前には崩れかけた泥の縁が細く続き、その下に黒いタールの湖が広がる。お前たちが這い出したのは、その縁の端だ。縁の近くは腰ほどの浅さだが、少し先で急に深くなるようだ。湖面のあちこちから、黒く固まった腕が突き出している。
弁の前では、男女が代わるがわる電撃棒を振り下ろしている。その奥で、壺を抱えた司祭が両腕を振り上げた。まるで矢のように、壺から放たれた鋭く青い雷が弁を打つ。
次の瞬間、死体全体が大きく跳ねた。縁の泥が崩れ、湖へ滑り落ちていく。
ここで止めます。全員【敏捷】で、DR8。リーゼは脱走兵で中装なので、DR12。
A(カスパル):1d20+1 > 19(成功)B(リーゼ):1d20 > 16(成功)C(オスカー):1d20 > 20(成功)
三人とも、崩れる泥の上で踏みとどまりました。
信者の一人が転倒して頭からタールに突っ込み、そのままパニックを起こしたのか逃げ出そうとする。ひどくねばつくタールからはすぐに抜け出すことができない。やっと立ち上がれたかと思うとすぐに両脇にいた信者の腕が伸びて、その体を湖のより色の濃い深みへと放り投げる。男はしばらく黒い水面を掻いて、やがて沈んだ。突き出ていた腕が、また一本増えた。
「背を向ける者は菌と同じだ。神の血に還せ!」こいつらは正気を失っている。
仲間を沈めた……。
電撃棒を持った二人が、こちらに気付いて縁を駆けてきます。残りは、こちらに構わず弁を殴り続けている。信者たちは処刑に手番を使ったので、最初はみなさんが先に動けます。どうしますか。
さっき呼び出した「精神閉眼」がある。駆けてくる二人を眠らせる。
リーゼは、縁の上で迎え撃ちます。
オスカーも縁で、剣を構えて待ちます。
(巻物を広げる)眠れ。
A(カスパル):精神閉眼 1d20+3 > 10(DR12 失敗)GM:反動 1d2 > 1
巻物の文字が、カスパルの指の間で焦げて崩れました。何も起きない。反動で1点、しばらく巻物は読めません。
……またか。
(駆けてきた先頭の信者に、曲刀を振り下ろす)
B(リーゼ):シミター 1d20 > 2(外れ)
曲刀は電撃棒に弾かれて、青い火花が散る。オスカーは、縁の上で剣を構えたまま。
弁の前の三人は、こちらに目もくれず電撃棒を振り下ろし続けている。その奥で、ユルヴァが壺を掲げました。青い雷が弁を打つ。二撃目。石灰の殻が、大きく軋みます。
また死体が跳ねる。縁の上にいる人は、【敏捷】DR10。リーゼはDR14。
A(カスパル):1d20+1 > 3(失敗) 転倒 1d2 > 1B(リーゼ):1d20 > 13(DR14 失敗) 転倒 1d2 > 1C(オスカー):1d20 > 16(成功)
カスパルとリーゼの足元の泥が崩れて、二人とも縁から転げ落ちます。腰まで、タールの浅瀬に沈んだ。1点ずつ。戦闘しながら抜け出すためには手番1回必要です。
駆けてきた信者二人が、電撃棒を振り下ろします。一人はオスカーへ。もう一人は縁ぎりぎりまで寄って、浅瀬に入ったリーゼへ。浅瀬の中は避けにくいので、防御はDR14です。リーゼは中装の分を足して、DR16。
C(オスカー):防御 1d20 > 9(失敗) 電撃棒 3点B(リーゼ):防御 1d20 > 5(DR16 失敗) 電撃棒 4−中装2=2点
HP2に2点で、0……。オーメンで減らします。
B(リーゼ):軽減 1d6 > 2(0点)
電撃棒がオスカーの肩を打って、肉の焦げる匂い。リーゼの鎧の上では、青い火が弾けて消えました。
オスカーは、HP1です。
カスパルも1だ。……GM、あいつら、仲間を深い方に投げ込んでたよな。こっちも、あいつらを投げ込めないか。
縁の上からなら、近くの信者を深みへ突き落とせます。浅瀬の中からでも、殴りに寄ってきた相手なら、足首や棒を掴んで引きずり込める。どちらも【筋力】DR12です。
殴るより早い!
(電撃棒ごと、信者に体当たりする)お前こそ、神の血に還れ!
(浅瀬から、振り下ろされたままの棒を掴んで引く)……さよなら。
C(オスカー):突き落とし 1d20 > 16(成功)B(リーゼ):引きずり込み 1d20 > 20(成功)
一人は縁から押し出されて、もう一人はリーゼに引かれて、頭からタールに突っ込む。二人とも暗い方へ転がって、沈みました。突き出た腕が、また二本増えた。
カスパルは浅瀬から、自分に薬箱を使う。
A(カスパル):薬箱 1d6 > 2(HP3)
ユルヴァは、沈んでいく信者には目もくれず、壺を掲げる。三撃目。石灰の殻にひびが走って、弁の縁から黒い汁が滲み出した。
また死体が跳ねます。縁の上のオスカーは判定です。
C(オスカー):1d20 > 5(DR10 失敗) 転倒 1d2 > 1
HP1に1点……。オーメン、最後の一個で減らします。
C(オスカー):軽減 1d6 > 3(0点)
オスカーも、崩れた縁と一緒に浅瀬へ落ちました。……ところで、浅瀬にいたカスパルとリーゼは、今の揺れで判定をしなくていいです。
ん?
粘つくタールが脚を固めていて、揺れても倒れにくくなりました。その代わり、浅瀬にいる間は身動きが取れず、殴られたら避けにくい。
最初から浅瀬にいればよかったんですね……。
……弁の前に残った三人のうち、一人が群れを離れました。電撃棒を構えて、縁を駆けてくる。縁ぎりぎりから、浅瀬のカスパルへ。
まだ来るんですか!
A(カスパル):防御 1d20+1 > 2(出目1、ファンブル)
防御で出目1はファンブル。受けるダメージが2倍になって、鎧も一段落ちます。
GM:電撃棒 1d4 > 1、2倍で2点
電撃棒がカスパルの胸を打って、革の胴着が裂けました。胴着は、もう役に立ちません。2点です。
HP3から2点で、1。……オーメンは、まだ取っておく。
一人ずつ寄ってくるのか。浅瀬なら揺れで倒れない。ここで迎え撃とう。殴りに来た奴は、掴んで引きずり込める。
賛成です。
オスカーも、ここで。
カスパルは、殴ってきた奴の足首を掴む。
リーゼは、そいつに斬りかかります。
オスカーも、剣で。
A(カスパル):引きずり込み 1d20−3 > 6(失敗)B(リーゼ):シミター 1d20 > 17(DR10 命中) 1d6 > 4、革 1d2 > 1(3点)C(オスカー):剣 1d20 > 9(失敗)GM:敗血症 1d6 > 3(発症せず)
カスパルの細い指は、泥まみれの足首を掴みきれない。リーゼの曲刀が信者の脇腹を裂いて、血が散る。オスカーの剣は空を切った。信者は、呻きながらもまだ立っています。
弁の前の二人は、歌いながら電撃棒を振り下ろし続けている。……ユルヴァが、こちらを振り向きました。仲間を沈めた菌を、睨みつけている。
神の熱に焼かれて消え失せろ、雑菌ども!
壺から放たれた雷が、浅瀬のオスカーを撃つ。この雷は、避けられません。
GM:壺 1d4 > 1(防具なし)
HP1に1点……オーメンは、もうないです。
カスパルの最後のオーメンで、オスカーのダメージを減らせないか。
ダメージを減らせるのは、受けた本人のオーメンだけです。仲間のためにできるのは、ダイスを一つ振り直させること。
壺の出目は1か。振り直しても、これより下はないな。
オスカーはHP0です。0になると「瀕死」で、d4を振ってどうなるかを決めます。マイナスまで落ちていたら、その場で死にます。
C(オスカー):瀕死 1d4 > 4
4は……死です。
えっ……。
待った。カスパルの最後のオーメンで、今の出目を振り直させる。
仲間のダイスの振り直しなら、できます。もう一度、振ってください。
C(オスカー):振り直し 1d4 > 2
2。手足が折れるかちぎれるか、片目を失うかです。d6を。
C(オスカー):1d6 > 2(手足)GM:行動不能 1d4 > 3ラウンドGM:起き上がった時のHP 1d4 > 3
雷はオスカーの左腕を焼いて、肘から先が、おかしな方へ折れ曲がりました。3ラウンドは動けず、そのあとHP3で起き上がります。
……ユルヴァの抱えた壺の表面に、ひびが一本走りました。
(タールに沈みかけたオスカーの襟首を掴んで、顔を引き上げる)薬師に死なれては、私が困る。
……腕一本で済みました。Aさん、ありがとうございます。
脇腹を裂かれた信者が、電撃棒を振りかぶる。狙いは、斬りつけてきたリーゼです。
B(リーゼ):防御 1d20 > 9(DR16 失敗)GM:電撃棒 1d4 > 3、中装 1d4 > 3(0点)
電撃棒はリーゼの鎧の上で弾けて、青い火を散らしました。
オスカーは、まだ動けません。どうしますか。
リーゼは、殴ってきたあいつの棒を掴んで、引きずり込みます。
カスパルは、ナイフで刺す。
B(リーゼ):引きずり込み 1d20 > 9(DR12 失敗)A(カスパル):ナイフ 1d20−3 > 4(失敗)
棒は、リーゼの手をすり抜けた。カスパルのナイフは、革の防具の上を滑る。
ユルヴァは、ひびの入った壺を一度見下ろして、また弁へ向き直る。四撃目。殻のひびが広がって、隙間から赤黒い奥が覗きました。もう一撃で開きそうです。
死体が跳ねて、タールが波打つ。浅瀬の三人は、脚を固められたまま揺れに耐えます。……信者が、またリーゼへ。
B(リーゼ):防御 1d20 > 5(DR16 失敗)GM:電撃棒 1d4 > 4、中装 1d4 > 1(3点)
HP2に3点……。最後のオーメンで減らします。
B(リーゼ):軽減 1d6 > 1(2点)
2点で、HP0。瀕死です。
B(リーゼ):瀕死 1d4 > 2B(リーゼ):1d6 > 4(手足)GM:行動不能 1d4 > 3ラウンドGM:起き上がった時のHP 1d4 > 1
電撃棒がリーゼの左手首を叩き砕いて、指が二本、タールの上に飛びました。3ラウンドは動けず、そのあとHP1で起き上がります。
(潰れた左手を胸に抱えて、うずくまる)……っ。
リーゼの手が……。
動けるのは、カスパルだけです。信者は、うずくまったリーゼの上で電撃棒を構えている。弁の前の二人は、声を揃えて歌いはじめました。どうしますか。
ナイフじゃ当たらない。HP1のカスパルが倒れたら、誰も二人を引き上げられない。……自分に薬箱を使う。
A(カスパル):薬箱 1d6 > 3(HP3、上限)
ユルヴァが両腕を振り上げる。五撃目。青い雷が、ひびの真ん中に突き刺さる。……石灰の殻が、内側から弾けるように割れました。弁が開きます。
信者たちが逃げるかどうか、「士気」を振ります。
GM:士気 2d6 > 6(崩れない)
弁の前の二人は、開いた穴に額を擦りつけて歌っています。リーゼの上に棒を構えていた信者も、それを放り出して、弁の方へ駆けていった。ユルヴァも、両腕を振り上げたまま。誰も、こちらを見ていない。
石灰の殻の割れ目の奥に、赤黒い管が口を開けています。オスカーとリーゼは、まだ動けません。どうしますか。
カスパル一人じゃ、二人は運べない。……オスカーが起きるまで、二人の顔をタールから出して待つ。
背後から、焦げた肉の匂いが近づいてきます。……しばらくして、オスカーが目を開けました。HP3です。左腕は、肘から曲がったまま。
……リーゼは。
オスカーとカスパルで、リーゼさんを両脇から抱えて、弁の穴へ引きずっていきます。
細腕二本と、片腕一本だ。やるしかない。
背後から、焦げた肉の匂いと炎の轟音が近づいてくる。
熱気と煙の向こうから、ユルヴァの声が聞こえる。
「見ておられる……感じる……! 神の眼が、我らを見ておられる! この身の罪も、病も、すべてを見ておられる……!」
その声は歓喜とも悲鳴ともつかないまま、迫る炎の唸りにかき消されていく。
神の眼……。司祭も、錬金術師も、この人たちも、みんな眼を欲しがってますね。
人気者だな、眼は。……一番乗りは、こっちだ。
弁の向こうは、赤黒い管が一本。……振り返ると、心臓の大空洞まで炎が押し寄せています。ここから後ろは、もう全部火の中です。地図の残りを消します。
奥から冷たい透明のゲルが流れてきて、背後の熱気を少しだけ和らげています。……二人に抱えられたまま、リーゼが目を開けました。HP1です。左手は、指が二本足りない。
(潰れた左手を見下ろして)……まだ、右手がある。降ろして。歩ける。
どうしますか。
ここで休めますか。
一度だけなら。ただ、それ以上は留まれません。
背中が燃えてるのに、のんびりはできん。薬箱で、オスカーとリーゼを手当てする。
白い塊から出た琥珀、オスカーが噛んでいいですか。
もちろん。
A(カスパル):薬箱 1d6 > 2(オスカー HP4、上限)A(カスパル):薬箱 1d6 > 4(リーゼ HP3、上限)C(オスカー):琥珀 1d2 > 2(最大HP5、HP5)
出口
管を抜けます。……読み上げます。
透明なゼリーが腰から胸の高さまで満ちた、静まり返った大空洞。足は底に着くため溺れはしないが、粘りつくゲルに足を取られてまともには走れない。前方の巨大な半透明の膜(角膜)越しに外の光が差し込み、湖全体がぼんやりと白い。中心の窪みに、大盾ほどの大きさのものが液体に半ば埋もれ、その光をギラギラと反射している。水晶体、ルーミスの目だ。
膜の向こうには、外の景色が透けて見えている。この湖は、あの膜一枚で辛うじて保たれているダムなのだ。水晶体から伸びる太い筋が、その膜の縁まで張り詰めている。
……目。
あれを持って帰れば、150s。
(メモをめくって)錬金術師は、もっと払うって言ってました。
持って帰ってからの話だ。
背中の管から、蒸気と熱気が追ってきます。
ぐずぐずしてられないな。カスパルは、まっすぐ眼のところへ行く。
オスカーも行きます。右手で剣を抜いて。
……リーゼも、続きます。
GM:1d6 > 1
ゼリーを掻き分けて、半分ほど来たところで、足元のゼリーが大きく盛り上がります。湖の底から、白い塊がもう一体、ゆっくりと立ち上がる。
もう一匹いた……!
GM:イニシアチブ 1d6 > 2(敵が先)
向こうが先です。白い塊の偽足が、オスカーへ。
C(オスカー):防御 1d20 > 5(失敗)GM:偽足 1d6 > 2(防具なし)
オスカー、2点。……水晶体は、もう目の前です。太い神経の束で、ゼリーの底に縫い止められています。
あの筋、膜の縁まで張ってますよね。切ったら、膜が破れて外に出られる……?
そう見えますね。
戦ってる余裕はない。神経を外して、湖ごと外に出るぞ。
神経は、どうやって外すんですか。
刃物で切るなら、一ラウンドかけて、ラウンドの終わりに切れます。力ずくで引きちぎるなら【筋力】DR12で、一瞬。
リーゼが、右手で引きちぎってみます。駄目なら、オスカーさんが剣で切ってください。
取りかかる前に、眼や神経の束のまわりを調べますか? それとも、すぐに取りかかりますか?
白いのが後ろにいます。調べている暇はないです。すぐ取りかかります。
B(リーゼ):引きちぎる 1d20 > 3(DR12 失敗)
神経は千切れず、無理に引いた力で、前の膜に亀裂が走ります。ゼリーが外へ噴き出しはじめた。次のラウンドが終わるまでに切り離せなければ、膜は破れて、眼を残したまま全員外へ押し流されます。
……そして、束の根元の脇、大腿骨ほどのひび割れから、錆びた鉤を生やした血の塊が這い出してくる。
GM:1d3+1 > 4
四つ。リーゼの腕と、オスカーと、カスパルに。
B(リーゼ):防御 1d20 > 9(DR12 失敗) 鉤 4−中装3=1点C(オスカー):防御 1d20 > 16(回避)C(オスカー):防御 1d20 > 3(失敗) 鉤 2点A(カスパル):防御 1d20+1 > 21(回避)
鉤を受けたリーゼとオスカーは「粘着」です。次のラウンドが終わるまで、身のこなしの判定が重くなります。
(鉤を腕にぶら下げたまま、右手一本で剣を神経に当てる)切るぞ……切るぞ……!
ラウンドの終わり。神経が断ち切れて、角膜が破裂します。ゼリーが、大津波になって外へ噴き出す。……鉤に引っかかったままの二人は、【敏捷】DR14。リーゼは脱走兵で中装なので、DR18。
18……。
B(リーゼ):1d20 > 15(DR18 失敗)C(オスカー):1d20 > 5(DR14 失敗)
カスパルは流れに乗って、外へ運ばれていきます。すぐそばを、鉤に縫いとめられた二人が過ぎていく。……カスパル、どうしますか。
手を伸ばす。……掴めるのは、一人だけか?
一人だけです。
……。
オスカーさんを。HP1だし、片腕だし、眼のそばにいるのはオスカーさんです。
……わかった。オスカーを掴む。
(オスカーの襟首を掴んで、流れに身を任せる)離すなよ、その眼を!
カスパルとオスカーは、水晶体ごと外へ吐き出されました。……水の抜けていく大空洞に、リーゼが一人、鉤に縫いとめられて残っています。
裁定粘着の判定に失敗し、引き上げる仲間の手が届かなかった場合の扱いは本文にない。このGMは、そのまま戦闘を続け、次の手番から自分で振りほどく判定を毎ラウンド振らせることにした。
白い塊の番です。粘着しているので、防御はDR16。
B(リーゼ):防御 1d20 > 2(DR16 失敗)
オーメンは、もう残ってません……。
GM:偽足 1d6 > 6、中装 1d4 > 4(2点)B(リーゼ):徘徊者に防御 1d20 > 3(失敗) 鉤 2−中装4=0点
出目6。偽足がリーゼを抱き込んで、白い塊の中へ引きずり込みます。HP0。
B(リーゼ):瀕死 1d4 > 1(気絶)
リーゼは、白い塊の中で気を失いました。……次のラウンド、塊はゆっくりとリーゼを消化します。
GM:消化 1d4 > 2
リーゼは、死亡です。
……前金の20s、リーゼが持ったままでした。
白いのの腹の中か。……琥珀と一緒に、溜め込まれたな。
背後からは、肉の山を包み込む油の爆発音と、猛火の咆哮が轟いている。
視界を満たす灰色の空。泥と混ざったゲルから立ち上がると、冷え切った外気がお前たちの身体を包んだ。
外の空気を吸った瞬間、はらわたに残っていた琥珀の熱が抜けていきます。カスパルは最大HP1、オスカーは4に戻る。
オスカーが、水晶体を覗いてみます。リーゼさんと引き換えに持ち帰った眼なので。
水晶体を覗くと、自分の手の中が見える。皮膚の下を赤い流れが走っている。
その中で、白いものが壁を叩き、黄色いものが泡立っている。それらには見覚えがある。
お前たちが歩いた赤黒い街道。立ちはだかった白い塊。あらゆるところで見かけた琥珀の粒。
同じものが、お前の体の中にもある。今、この瞬間も動いている。
目を離しても、それは終わらないのだろう。お前はここが何だったのかを知ってしまった。
……白いのは、俺の中にもいる。リーゼを呑んだのと同じものが。
……体の中の、白血球。
この眼は遺物です。1日1回、【存在】DR12で、見えている生きたものを覗ける。弱点が見えるか、体について一つ質問できる。
失敗すればHPをd2失って1時間目を開けられず、ファンブルなら何かが二度と戻らない。
……泥地の向こうから、法衣の女が近づいてきます。司祭長ヘルヴィです。その脇を追い越すようにして、小瓶を腰に提げた男が、先にこちらへ歩いてくる。
約束の眼だな。……前金を握らせた娘は、どうした。
白いのに呑まれた。
(肩をすくめて)前金ごと、か。まあいい。司祭よりはずむと言ったな。160sだ。
使いの者が依頼した、眼だな。約束の150sだ。……その男に渡すつもりか。
どうして司祭さんより高く払えるのか、誰か聞いてもらえませんか。
オスカーが聞きます。
どうして、司祭より高く払える。
裏も何も。屍神が灰になれば、その眼も数日で白く濁る。濁る前に砕いて使うから、私には十分なんだよ。
ヘルヴィに渡すか、錬金術師に売るか、手元に置くか。どうしますか。
……正直、オスカーは持っていたいです。一日一回、振れるんですよね。
数日で濁るらしいぞ。……まあ、世界の方が先に終わるかもしれんがな。
濁るまで、毎日覗けたら……。
リーゼのお墓を、建ててあげたいです。それに、錬金術師の話を受けたのは、リーゼなので。
……はい。オスカーは、一回覗いたので十分です。売りましょう。
決まりだ。なら、値段の話をしよう。
(水晶体に手を置いて)前金を握った娘は、この眼のために白いのに呑まれた。160では、あの娘の墓石も買えん。
……170。
ヘルヴィが腕を組んだまま、こちらをじっと見ています。
200。
(舌打ちして)180。
ヘルヴィの口元が、固く結ばれました。
Aさん、司祭さんの顔……。
分かってる。……リーゼの分だ。
もう一声。
……190。これ以上は、数日で濁る玉に出す額じゃない。
その額を聞いた途端、ヘルヴィが踵を返しました。
司祭団の依頼を、錬金術師に売るか。……覚えておけ。
ヘルヴィは振り返らずに、薪の山の向こうへ去っていきます。もう、司祭団に眼を渡すことはできません。
……怒らせちゃいました。
墓代だ。……190で売る。
錬金術師は銀貨を数えて渡すと、水晶体を外套にくるんで、煙の向こうへ消えました。
(煤だらけの顔で、薪の山の陰から出てきて)生きて出たかい。……ツケは流すよ。一人分、高くついたね。
灰の待合の杭には、リーゼの犬が繋がれたまま、裂け目の方をじっと見ています。……シナリオはここまでです。お疲れさまでした。
ガルゲンベックの空には、まだルーミスを焼く煙が昇っている。カスパルは190sのうち100sで、市壁の外に小さな墓を買った。中に納めるものは何もなかった。残りで、オスカーは犬に肉を買ってやった。折れた左腕は、少し曲がったまま骨がついた。数日後、司祭団の若い僧が、二人の泊まる安宿の場所を尋ねて回っていたという。錬金術師があの眼を砕いたのか、濁らせたのかは、誰も知らない。
| PC | HP | 結果 |
|---|---|---|
| カスパル(A) | 1/1 | 生還。巻物は二度しくじり、ファンブルで革の胴着も失った。それでも薬箱で仲間を支え、最後のオーメンでオスカーの「死」の出目を振り直させ、倒れた二人を弁の先へ引きずり、流されながらオスカーを掴んだ。眼を190sで売った |
| リーゼ(B) | — | 区画5で死亡。白い塊を一撃で断ち、心臓では浅瀬から信者を引きずり込んだが、電撃棒に左手を砕かれた。眼の前で湖底の白い塊に呑まれた。錬金術師の前金20sとともに |
| オスカー(C) | 1/4 | 生還。爆弾で白い塊を吹き飛ばし、心臓で瀕死になって左腕を折られ、それでも右手一本で視神経を切り、水晶体を持ち帰った |
結果水晶体を錬金術師へ(190s)。ヘルヴィは激昂して立ち去った。マルガへのツケは帳消し。死者1。禍い1回。
お疲れさまでした。初めてのMÖRK BORG、どうでしたか。
前金を受け取ったのはリーゼなのに、売る時にリーゼがいないのが、すごく変な気持ちでした。……でも、お墓は建ちました。
崖の下の死体の走り書き、「白いもの」って、あれのことだったんですね。二回出てきた。……瀕死で4が出た時は終わったと思いました。柄で殴ってクリティカルを出したのは、本当にすみませんでした。
心臓の浅瀬、最初から入ってれば揺れで倒れなかったのは悔しい。でも、仲間を深みに投げる信者を見て、投げ返すのを思いついたのは気持ちよかった。
ヘルヴィを怒らせたのは、カスパルの性分だ。HP1の隠者が生きて帰って、墓代まで値を吊り上げたんだから、上出来だろう。
ヘルヴィの「覚えておけ」は、覚えておきます。
犬、元気だといいな。
オスカーが肉を買ってくれましたよ。
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リプレイ おわり